東日本大震災から10年

東日本大震災から10年。「あなたはあの時何処で何をしていましたか」とは、3月11日の前後にテレビなどでよく耳にする話です。
私はあの日、3月11日 14時46分、SFS事務所の移転の準備のため、旧事務所で業者と打合せをしていました。木造二階建ての古い建物は今にも倒壊するかと思うほどの揺れ方でした。
旧事務所から引越して現在の森井ビルに事務所を開いたのは震災から2週間後の3月24日でした。
SFSの事務所も、現在のところに移転してもう10年経ったかと、あらためて感慨深いものがあります。
計画停電や物流の滞りがある中、業者との打合せや引越しの準備に追われていたのを思い出します。

moriibiru
現在、92名の会員のうち、半分強の54名の方は旧事務所をご存知ないかと思いますので、当時の引越しプロジェクトの一人として、思い出すことなど、少し書いてみます。
(プロジェクトのメンバーの内、二宮さん、若木さん、朝倉さんはもういない・・・)
以前の事務所は、北口のビックカメラと駿河銀行の間の遊行通りを入った四谷学院の隣、現在「アルモント」ホテルのある処です。 SFSは2003年に設立されましたが、「NPOとして」活動を開始した2004年11月にここに事務所を開設しました。
kyujimusho
木造の古い建物の2階、狭い一部屋だけの事務所でした。あの狭く急な錆びた外階段を懐かしく思いだします。現在は「アルモント」ホテルの建つ場所です。
この建物は、2013年3月に火災で全焼しました。 SFSが退去して丁度2年後のことでした。
kasaigo
「歴史にifはありません」が、もしあのまま、旧事務所にい続けたら、火災で大変おおきなダメッジをうけて、多分今日のSFSはなかったかと思います。急に移転先を探したり、それに対応するための会費値上げを検討し決めることはそう短時間にはできませんから、その間の活動の停滞と関係者からの信用・信頼の失墜は避けられなかったことでしょう。
話は前後しますが、 移転するにあたっては、新事務所の家賃はSFSの運営上大きな負担になることは分かっていましたから、移転の1年ほど前から検討を重ね、前年の2010年11月には、臨時総会を開いて、年会費を6千円から1万2千円に値上げを決定しました。 これはこれで、SFSにとっては大きな問題で、賛否両論いろいろある中で、議論を経て、会員の多数の賛同を得ることができました。
2020年11月の会費値上げの決定から事務所探しを本格的に行い10数か所も見て回り、今の「森井ビル」に辿りつきました。
NPOがこんな立派なところに事務所を構えるのは無謀との意見もありましたが、ここに決めました。当時の代表理事・二宮さんのご英断です。
ビルのテナントに入るには敷金など一時的費用の他に幾つかの出費がありましたが、継続的費用の二つ削減して契約しました。
一つは、ビルの外の案内看板です。 これに名前を入れるだけで毎月数千円がかかるとのことで、外部から訪ねて来た方には不親切ではありますが、断念しました。
もう一つは、清掃費です。 室内の清掃とゴミ出しをビル管理会社が請負いますが、これも月額数千円です。
この二つで月額およそ1万円になります。会費を値上げしたばかりの感覚では、この1万円は10人分の年会費に相当するということで、断念せざるを得ませんでした。
結果として、私たちは自分で清掃して、ゴミはもち帰らなくてはなりません。
新しい事務所入居をきっかけに作られ、今でも続いていて定着した幾つかのルールについて、この機会に、あらためて書き起こしてみます。
1)ゴミ箱を置いていませんから、ゴミは各自が持ち帰る。
ペットボトルやコーヒーカップはかなり定着していますが、仕事がらみの段ボールや用済みのチラシなどはまだまだ放置されていることがあります。面倒でも不要なものは当事者がお持ち帰りください。
2)私物を持ち込まない。
良かれと思って持ち込んだ鉢植え、額縁、写真、カレンダー、ポスターなどです。
3)壁にポスターやチラシを貼らない。
掲示物は所定のボードだけです。当番席の横と入り口の衝立ては用途に応じて掲示できます。期限切れのものは掲示者が取り外すのが原則ですが、気がついた方は外してください。カバンに入れてお持ち帰りください。
以上、「3.11」から思い出して、移転前後のことや、事務所の管理ことなど書きました。
コロナ禍の下、事務所の利用は幾つかの制限がありますが、この機会に、次の10年に向けて、サスティナブルなSFSの活動の礎となる快適な事務所の維持に心を新たにしたいと思います。

斎藤登記男

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